Abin=約3万の記録隠滅か=スパイの対象にグレン氏も

連邦警察は20日に「ウルチマ・ミーリャ作戦」を敢行した際、捜査対象となったブラジル情報庁(Abin)が、捜査の初期段階で、スパイ疑惑を隠蔽するために証拠を隠滅した形跡を見つけたと発表した。23日付メトロポレス(1)が報じている。
ウルチマ・ミーリャ作戦は、Abinがボルソナロ政権時にイスラエル製ソフトウェア「ファースト・マイル」を使い、前大統領が政敵と見なしたジャーナリストや政治家、最高裁判事らの行動や携帯電話をモニタリングしていた嫌疑に関するもので、同庁職員2人が逮捕された他、当時のモニタリングの責任者で現Abinのナンバー3のパウロ・マウリシオ・フォルトゥナート氏らの停職につながっていた。
だが、一方で、連警は既にAbinが今年上半期に3万にも及ぶデータを消去していた痕跡を確認しており、同作戦はAbinが証拠隠滅を図っていた嫌疑があったためだという報道もある。同件に関しては3月にグローボ紙が「Abinが3万件以上のデータを消去か」と報じており、当時からファースト・マイルの不正使用が疑われていた。
24日付フォーリャ紙(2)によると、Abinは既に4月11日に最高裁に、スパイ行為が疑われるファースト・マイルのデータを提出していたという。これは3月29日にアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が出した命令に応えたものだったという。
連警は現在、Abinが消去した3万のデータの回復に乗り出している(23日付メトロポリスによると、データ回復は終了し、証拠隠滅を図った人物の特定作業中だという)。
ジャーナリストや政治家、判事に対するモニタリング記録は3万回余りの不法アクセスの内1800件ほどだったと言われているが、20日付G1サイト(3)は、データの多くが消去されていたため、20日の時点で確認できていたのは3万3千回の不法アクセス中1800回のみと報じていた。23日付グローボ紙(4)は、スパイ行為の対象にジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏とその配偶者で2023年に病死したデヴィッド・ミランダ元下議が含まれていたと報じた。
グレン氏は2019年、ハッカーのバルテル・デルガッティ容疑者が盗聴した、ラヴァ・ジャット作戦検察主任だったデルタン・ダラグノル氏や担当判事だったセルジオ・モロ氏の通話記録から同作戦の疑惑を報じた「ヴァザ・ジャット報道」を行ったジャーナリストだ。
グレン氏はこの報道を「ショックだ」とし、Abinの不正なスパイ行為疑惑に対する完全な捜査を求めている。