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商議所昼食会=NTT竹内氏がサイバー犯罪対策講演=「セキュリティ対策の重要性強調」

2023年10月25日

竹内氏に感謝状を贈る小寺勇輝会頭(提供:Rubens Ito/CCIJB)
竹内氏に感謝状を贈る小寺勇輝会頭(提供:Rubens Ito/CCIJB)

 ブラジル日本商工会議所(小寺勇輝会頭)は20日、サンパウロ市のイベント施設「ブッフェ・パヴァネリ・ブタンタン」で定例懇親昼食会を開催した。特別ゲストにNTTコミュニケーションズ株式会社の竹内文孝氏を招き、講演「これからの経営基盤を守るサイバーリスクマネジメント~多様化時代のセキュリティ対応策を攻撃者目線で再考する~」を行った。約100人が参加し、企業のサイバーセキュリティ管理のポイントについて理解を深めた。

 小寺会頭は冒頭のあいさつで、「ブラジルはSNS利用者が世界第3位、インターネット利用者も世界第4位というデジタル大国。オンラインサービスの『Uber』や『i―food』、中央銀行による即時決済システム『PIX』も普及し、デジタル通貨やIDも導入されようとしている。しかし、その一方でサイバー犯罪も増加している」と述べ、サイバーリスク管理の専門家である竹内氏に講演を依頼した経緯を語った。

講演する竹内文孝氏(提供:Rubens Ito/CCIJB)
講演する竹内文孝氏(提供:Rubens Ito/CCIJB)

 竹内氏はNTTコミュニケーションズ株式会社で、プラットフォームサービス本部マネージド&セキュリティサービス部セキュリティサービス部門長を務める人物。通信機器営業部でビジネスフォンなどの工事や保守業務を通じて顧客対応やフィールド技術を習得。その後、企業通信システム本部のSEとしてLANの設計・構築やトラブルシューティングに従事し、2013年、NTTコムセキュリティ株式会社(現NTTセキュリティ・ジャパン)の社長に就任し、現職に至る。
 竹内氏は講演で、企業のセキュリティ対策は、会社を強くするための戦略の一つと位置づけた。
 2022年のデジタル競争力は、日本が世界第29位、伯国が第52位。日本ではサイバー攻撃による被害コストが下がっているのに対し、伯国は30%増加しているという。
 セキュリティ事故(データ侵害)による情報漏洩が起きた場合、会社の信用問題となってビジネスを失い、被害額も増していく。「セキュリティは単なるコスト。直接的な利益を生まないので後回し」と考える経営者は少なくないが、現場のIT管理者はセキュリティの重要性を強く実感しており、ブラジルでもさらに気を引き締める必要があるとした。
 サイバー犯罪で増加したのは、ランサムウェア被害で、特にパンデミック以降に増加。日本では2021年から2022年に倍増しており、53%が中小企業、大企業が27%、団体などが20%と、セキュリティのぜい弱な企業が金銭目的でよく狙われている。感染経路は81%がリモート接続系からだ。他にもサプライチェーンへの攻撃は巧妙化しており、近年の複数の深刻な事例が取り上げられた。

会場の様子(提供:Rubens Ito/CCIJB)
会場の様子(提供:Rubens Ito/CCIJB)

 竹内氏はサイバー攻撃への対策について、孫氏の兵法「知彼知己、百戦不殆」を引用し、「敵を100%知ることはできないが、自社の状況を完全に把握することで五分の防衛はできる」とし、社内の管理対策や社員へのサイバーセキュリティ教育を徹底することを推奨した。
 「ウイルスに感染したのは自社であっても、そこから取引先にも移して加害者になってしまうこともある」と注意喚起し、「自社の文化を尊重したバランス感のあるリスクマネジメントが重要である」と講演を締めくくった。
 参加者からの「各企業はサイバーセキュリティにどのくらいのコストをかけるべきか」との質問に対しては、「各社が守るべきものは何かをしっかりとつかみ、その価値に対する金額」とした。


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