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採掘場崩落危機=住民20万人が被災者に=企業に7200万レ罰金

2023年12月7日

危険地区を示す地図(4日付フォーリャ紙サイトの記事の一部)
危険地区を示す地図(4日付フォーリャ紙サイトの記事の一部)

 【既報関連】アラゴアス州マセイオー市がブラスケン社の岩塩採掘場が崩落し、大陥没が起こる可能性に直面している件で、同州知事が連邦政府に緊急支援を要請。ブラスケン社には罰金も科されたと5日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。

草木に覆われた初期の移転者達が住んでいた廃屋(21年撮影、4日付フォーリャ紙サイトの記事の一部)
草木に覆われた初期の移転者達が住んでいた廃屋(21年撮影、4日付フォーリャ紙サイトの記事の一部)

 パウロ・ダンタス知事は5日朝、大統領職代行中のアルキミン副大統領や閣僚らと会談し、ブラスケン社が被害者に公正な補償金を払うことを保証するための総弁護庁主導の監視団創設、ムンダウ、マングアバ両湖の浚渫で得た資材を使った坑道閉鎖の研究、貝採取者や漁師への特別支援、正副大統領による現地訪問、被災者の精神ケアのための資金や専門家確保に向けた支援、避難地区の学校再開への方策、住居不足を補うための支援などを求めた。同知事は、直接・間接の被災者は20万人を超えており、問題解決には国の支援が不可欠としている。
 5日はアラゴアス州環境研究所も、ムタンジェ地区の18番採掘所の崩落とそれに伴う大災害発生のリスクに関し、ブラスケン社に7200万レアルの罰金を科した。5日の地盤沈下は0・22センチ/時で、11月30日以降の沈下累計も1・87メートルに止まっているが、市防災局は崩落はいつでも起こり得るとし、警戒態勢を維持している。
 11月29日付G1サイトなど(3)(4)によると、11月29日に出た非常事態宣言は、11月中に5回の地震が起き、年数ミリだった地盤沈下が数センチ/時となったことを受けたものだ。ムタンジェ地区の18番採掘場の崩落で隣接する採掘場も崩れれば、マラカナン・スタジアム並みの大陥没も起こり得るという。ムタンジェ、ボン・パルト、ベベドウロ、ピニェイロ、ファロルの5地区住民は皆退去し、ピニェイロ地区の病院の患者も全員が別の病院に移った。
 採掘場崩壊に伴う最初の地震観測は2018年だが、6日付G1サイト(5)によると、採掘活動に伴うリスクに関する議論は1977年の操業開始直後の1980年前半に始まっていた。この議論は、社会的責任に関する行動のために投資するとの同社の約束で立ち消えたという。
 だが、18年の地震後、同市の地下はスイスのチーズのように穴だらけで、地震の原因は同社の活動と特定された。
 家屋崩壊や地盤沈下のリスクのある地区住民の避難は2019年に始まり、人口密度も高かった地区は草木で覆われた廃屋の立ち並ぶ地区に変わり始めた。
 この動きを決定的にしたのが11月29日に出た非常事態宣言だ。だが、避難地区同様の条件の家屋があるのは市中心部から10~15キロ離れた地区で、生計手段を失う人もいるなど、住民の生活は一変。6日付G1サイト(6)によると、避難地区元住民らは6日朝、ブラスケン社を訴えて抗議行動を起こしたが、参加者の中には自分達の地区も補償対象にと願うフレクサイス地区の住民の姿も見られたという。
 4日付アジェンシア・ブラジル(7)によると、マセイオー市長は4日、運輸、教育、保健医療、公共交通などのサービスや商業を含む経済活動が止まり、市だけでは補償や復旧は不可能であることなどを列記した報告・提案書を連邦政府に提出。会合には連邦貯蓄銀行頭取も出席し、住宅問題を協議した。
 6日付G1サイト(8)は、地下採掘場崩落で大陥没が起きればマンダウ湖の水が岩塩層に達し、淡水が塩水化するため、貝などが死滅する可能性も指摘。そうなれば、生計手段を失う人がさらに増える。


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