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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=102

2024年3月7日

 だが、手術後、三ヵ月も経つ頃から母の腹痛は増し、朝夕、鎮痛剤の服用を欠かせなくなった。きわめて涙もろくなり、あまり痛まぬ日など、
「パパ便がでた。我慢した甲斐があったわ。治るんだわね」と言いながら、わんわん泣いた。
 母は、私がそばにいると勉強のことや、炊事のことに注文をつけたり、雑誌に眼を通したりするが、少し場をはずしたりすると布団にうつぶして泣いていた。
「どうして良くならないんだろう。胃の手術の時は一ヵ月も経つと大分元気になったのに、今度はどうしたのか知らん。便秘だけなら我慢できるけど、お尻のむずむずするのはやりきれない。カズ、パパたち皆でママを騙して...

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