北東部でサンゴ礁の白化=海洋温度の上昇などを警告

ブラジル北東部でサンゴ礁の白化が起きていると、13、18日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)が報じた。
サンゴは褐虫藻と呼ばれる植物プランクトンと共生し、光合成によってエネルギーを得ている刺胞動物で、海水温が30度を超えると褐虫藻を体内から放出するため、骨格が白く透けて見える白化現象が起きる。水温が低下すれば褐虫藻が戻り、サンゴも健康を取り戻すが、白化が長引くとサンゴは死滅する。サンゴ礁の白化は世界的な現象で、気候変動に伴うエルニーニョ現象なども引き金となり得る。
ブラジル近海でのサンゴ礁の状況は、シコ・メンデス生物多様性保全研究所(ICMBio)やタマンダレ持続可能性長期生態学プログラム(Pels‐Tams)などと連携する北東部海洋生物多様性研究保護センター(Cepene)が監視している。
Cepeneコーディネーターのレオナルド・メシアス氏によると、ペルナンブコ州タマンダレ市やセルジッペ州でのサンゴ礁の白化は3月第3週に確認され始めたという。
また、これらの海洋無脊椎動物の保護プロジェクトのバイオファブリカ・デ・コライスは13日、ペルナンブコ州ポルト・デ・ガリーニャスのサンゴ礁再導入地区でも白化確認とSNSで発表した。
研究者達はアブロリョスやアトル・ダス・ロカス、フェルナンド・デ・ノローニャなどでも状況を監視している。
メシアス氏によると、海洋温度上昇や世界的な白化の波の可能性は今年1月に北米の気象機関NOAAが予測していたという。また、海洋温暖化は地球規模の現象で、気候変動で頻度が高まっているため、サンゴ礁を白化から守るために地域レベルでできることはほとんどないとし、サンゴ礁の死はサンゴ礁がもたらす生物多様性の喪失も意味し、漁業や海岸保護にも影響を及ぼすとも語っている。
コスタ・ドス・コライス環境保護区(APA)北部のタマンダレで監視活動を行っているペルナンブコ州連邦大学研究員で、Pels‐Tamsのコーディネーターでもあるベアトリセ・パドヴァニ氏によると、最も感受性の高いファイアサンゴ(ミレポラ種)はかなり広範囲に白化しているが、最も抵抗力のある種は青白くなり始めてはいるものの、完全には白化しておらず、まだ生き残っているという。
また、NOAAの最新報告では3~7月には世界数カ所で90%の確率で白化が起こると警告されていたという。サンゴ礁の白化の波は2016年、19年、20年にも起きた。だが、今年は頻度や強度、持続性も高いため、かなり重要な事態が起きそうだとし、「これは全世界に影響を与える気候問題についてサンゴから受け取っている警告」「影響を受けるのはサンゴ礁だけではなく、人類への警鐘」と強調した。
サンゴ礁の健全性改善には、海水温の上昇を引き起こす気候変動との闘いだけでなく、下水の海への放出回避やブラスチックの使用削減、マングローブや砂州などの関連生態系を含むサンゴ礁の保全対策などが重要だ。