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マクロン「メルコスル協定は最悪だ」=産業界に冷や水、大変更主張

2024年3月29日

FIESPで開催されたブラジル・フランス経済フォーラムで演説するマクロン大統領(Foto: Paulo Pinto/Agência Brasil)
FIESPで開催されたブラジル・フランス経済フォーラムで演説するマクロン大統領(Foto: Paulo Pinto/Agência Brasil)

 ブラジル訪問中のエマニュエル・マクロン仏大統領は、メルコスルと欧州連合(EU)の間の自由貿易協定に関し、20年前の合意は時代遅れであり、気候変動と生物多様性の問題を考慮した新しい協定が必要だと述べ、同協定締結を推し進める産業界のビジネスマンやブラジル政府の努力に水を差した。27日付インフォ・マネーなど(1)(2)(3)が報じた。
 この発言は27日午後、サンパウロ州工業連盟(FIESP)本部で開催された「ブラジル・フランス経済フォーラム」での演説中になされた。
 イベントにはジェラルド・アルキミン副大統領兼商工開発相(ブラジル社会党・PSB)、フェルナンド・ハダジ財相(労働者党・PT)、リカルド・アルバン全国工業連合(CNI)会長などの重鎮も参加しており、副大統領と財相は、メルコスールとEUとの自由貿易協定を擁護する発言を行っていた。
 だが、マクロン氏は、「メルコスールとの協定は最悪だ。この協定は20年前に交渉されたもので、今は外交もビジネスも大きく変わった。古いルールで交渉しても同じようにはいかない。生物多様性と気候を考慮し、現在の世界を念頭に置いて(協定を)再構築しなければならない」と述べた。
 また、「私はこの協定を擁護しない。ブラジルの企業は二酸化炭素排出量に対して敏感であり、政府も森林破壊との闘いに取り組んでいる。時代遅れの古い考えは捨て、森林破壊や気候変動、生物多様性との闘いを優先事項の中心に据えた、新しい目的に基づいた協定を探す必要がある」と強調した。
 「ブラジルとフランスはこのような協定を構築できる二つの大国だ。気候変動対策と生物多様性保全を行うことは、より野心的な戦略を策定することにつながるだろう」と締めくくった。
 マクロン氏は主に国内政治的な問題から、同協定に反対している。フランス国内では自国の農業部門を弱体化させるリスクを懸念し、、この条約が懐疑的に見られている。また、フランス政府によれば、現在の条件のままで協定が実現すれば、自国の厳しい環境法に従うフランス企業は、同じ基準に従っていない企業と競合しなければならなくなる。
 同氏は政治にも触れ、ブラジルが新型コロナウイルス感染症や政治的危機を乗り越えて堅実な成長を遂げ、世界の民主主義の不安にも抵抗してきたことを称賛した。彼は、ブラジルとフランスの経済や国家としての将来に自信を持つべきだとし、両国は均衡と平和の大国であり、多国間主義を支持し、二極秩序の力を拒否することも強調した。また、両国の関係の重要性を強調し、両国の企業に信頼し合うよう促した。
 マクロン大統領は同日朝、リオ州を訪問しており、ルーラ大統領(PT)と共にイタグアイー市で行われた潜水艦「トネレロ」の命名式と進水式に参加した。この艦は2008年にブラジルとフランスが調印したパートナーシップの潜水艦開発計画(Prosub)の一部で、約400億レアルの予算が計上されている。ブルー・アマゾンと呼ばれるブラジルの排他的経済水域の防衛にあたる予定だ。
 マクロン氏はここでも戦略的パートナーシップの重要性を強調し、「平和大国」としての両国の「友情」を称えた。「我々は世界中で国際法尊重を擁護し、人間の尊厳や平和を信じている。フランスやブラジルのような平和的な大国は、信頼と国際秩序を守るために武力を行使できなければならない」と語った。
 ルーラ大統領はフランス政府に謝意を表し、「Prosubはブラジルで最大かつ重要な国際防衛協力プロジェクトで、ブラジル沿岸における主権を保証し、雇用と収入を生み出すことで海軍産業を強化し、多大な技術革新により、同部門の発展を促進する」と述べた。同計画では2033年までに原子力潜水艦1隻を含む潜水艦5隻を納入し、技術移転も行うことになっている。トネレロは3隻目だ。


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