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《記者コラム》世間の注目を集め始めた=ブラゾン兄弟の深い闇

2024年4月12日

シキーニョ・ブラゾン氏(Lula Marques/Agencia Brasil)
シキーニョ・ブラゾン氏(Lula Marques/Agencia Brasil)

 ラヴァ・ジャット作戦以降、政治的スキャンダルの中心は、セルジオ・モロ氏やデルタン・ダラグノル氏だったが、三権中枢施設襲撃事件以降はボルソナロ前大統領の閣僚たちがその座を占めている。この状態が早々に変わることはないだろうが、今後はそこにシキーニョ、ドミンゴス・ブラゾン兄弟が加わってくるとコラム子は見ている。ブラゾン兄弟は2018年3月のマリエレ・フランコ元リオ市議殺害事件の容疑者だ。

 この兄弟が容疑者として報道された当時、マスコミや国民の反応は今ひとつだった。それはこの兄弟がこれまで全国的なニュースになったことがほとんどなかったからだ。
 また、現実の事件にもドラマ的な展開を求める者はおり、世間にはボルソナロ前大統領一家が関与していることを望む向きがあった。実際に殺害実行犯のロニー・レッサ氏はボルソナロ氏と同じコンドミニオの住人で、マリエレ氏が殺害された日に次男のカルロス氏が花束と銃を持って写った写真がインスタグラムに掲載されていたことがその風潮を後押しした。ネットでは左派寄りの人の中に、いまだボルソナロ一家の関与を疑っている人たちも見受けられる。
 しかし、連邦警察からの捜査報告が報じられ始めると、人々の関心はブラゾン兄弟に移った。
 ブラゾン兄弟はリオ西部のミリシアの支配地帯に影響力を持っており、それを10数年前にマリエレ氏の上司でリオを代表する左派政治家マルセロ・フレイショ氏に公にされ、恨みを抱いていた。
 ブラゾン兄弟は、マリエレ氏が支配地の中のジャシアレパグアー地区の捜査を行おうとしたことで彼女の殺害を企てた。さらに自分たちに捜査が及ばないようにリオ市警の部長だったリヴァウド・バルボーザ容疑者を共犯者にして、捜査をかく乱した。
 政界、警察、ミリシアがグルになって犯罪を犯していたという事実は、フィルム・ノワールの映画を思わせ、ブラゾン兄弟の闇の深さを物語っている。
 これまではボルソナロ氏のような過激発言で問題になっている人が目立ちやすかった。だが、本当に恐ろしいのはどういう人たちなのか。それを感じ始めている人は少なくないようだ。
 リヴァウ容疑者は市警のトップに指名される前から諸々の疑惑があった人物だった。そこを強行に指名したとされるのが、1月8日事件でもその存在がクローズアップされたヴァルテル・ブラガ・ネット氏だ。ネット氏への注目度も今後、上がっていきそうだ。(陽)


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