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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=128

2024年4月20日

 息子ジョージに接する時の細やかな情感を、自分の父母や夫に対して抱く素振りが全くないのである。こういう情意の使い分けがどうしてできるのか、八重は情が厚いのか薄情なのか解らない。
 その頃、八重は田守のパドリニョ(名付け親)にあたるダニエルというポルトガル人の土地を借りて棉作りをしていた。ダニエルの指導を受けながらよく働き、田守を何不自由なく学校に通わせていた。まだ若い八重が、ダニエルやその他の人々の勧める縁談に、耳をかすこともなく黙々と働く姿は美しかった。事実、八重は美人であった。ある気品を備えていた。田守は学校の休日や日曜日がくると、時どき早く起きて野良仕事を手...

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