小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=147
ジュアレースが怒鳴った。
「田守が樹木の根元を掘れと言ったからな」
「そうだ、樹木の一、二本倒してもどうってことないさ。辺りが明るくなったじゃないか」
男たちは、そのまま倒れた大木に腰をかけた。田守は持参した弁当を二人に渡した。後方から、木洩れ日が男たちの背に斑紋を投げかけていた。足元で渓流のせせらぎが光っていた。
午後は、ジョンの掘り起した砂利を、川岸まで移動するのを田守が手伝い、三人の共同作業となった。水洗済みの砂利は川岸に山と積まれたが、一粒のダイヤモンドも拾えなかった。
「今日は収穫なしか」
ジュアレー...
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