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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=148

2024年6月4日

「あいつの良心に任せよう」
「あいつが、良心なんて持ってやしないさ」
「まあ、いいではないか。《往く者は追わず、来る者は拒まず》と言う」
 田守は太っ腹を見せて笑った。多少こだわることがあっても直ぐに豪放な気分に切り換える処世術を心得ていた。
「田守はお人好しだが、損ばかりしている」
「その通りだ。さもなけりゃ、俺はもっと別な道を歩んでいた筈だ」
「……」
「ときにお前、あの男とはどう知り合ったのだ。あんな残虐なことをやってのける奴 ……」
 田守はジュアレースに訊いた。
「俺が仕事にあぶれ、バイア州からこのマット・グロッソ州に流れてきて、アギア...

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