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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=160

2024年6月26日

 中でもサップーバは軽くて弾力があり、木質が光沢に勝れ、鍬の柄として最適である。
 蒸し暑い午後で、ことに山の中は風通しが悪かった。フィゲイラ樹やジャトバー樹が繁茂し、モンステーラの寄生植物が密生した葉を広げ、薮蚊がまとわりつく。適当な灌木を捜すのも容易ではない。信二は汗だくになり、フォイセで蔓草を伐いつつ進んでいた。
 一羽の白鷺がジャトバー樹の高い枝に止まっていた。信二は猟銃を構えた。射程距離には遠すぎる。信二は忍び足で獲物に近づいて行った。白鷺はそれと気づいたのか、僅かに遠方へ移動した。信二は追った。
 漸く着弾距離に達した。大木の陰に身を潜め、狙いを定...

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