ハダジがルーラを説得=中銀批判和らげ支出削減=財政均衡法の順守約束

3日、フェルナンド・ハダジ財相をはじめとする経済スタッフとルーラ大統領との会合が行われた。ハダジ財相はここで、ルーラ大統領に対し、中銀に対する発言を和らげるよう忠告。これを受け、連日続いていたドル高が緩和された。また、同日は250億レアル以上に及ぶ大幅な財政支出切り詰め案も発表された。同日付G1サイト(1)が報じている。
ルーラ大統領とハダジ財相の会談は、このところ続いていたルーラ大統領の中銀批判発言によるドル高の最中に行われており、市場からの注目度も高かった。ルーラ氏はここ数週間、中銀が経済基本金利(Selic)の引き下げを中断したことへの不満を抑えきれず、「中銀は国民のためにではなく、銀行や市場のために働いている」とロベルト・カンポス・ネット総裁批判を繰り返している。それが「中銀の独立性のルールに反している」として批判を浴びたことは、ドル高の大きな理由の一つとなっていた。
この日の会合は午前と午後の2度行われた。朝の会合は公務外扱いで、大統領官邸で8時20分から9時過ぎまで行われた。ハダジ氏はこの時に、中銀に関する発言を和らげるよう伝えている。
この会合後、ルーラ大統領は大統領府で農業界への大型投資対策「プラノ・サフラ」の発表を行った。2024〜25年に農業部門に対して4千億レアルの投資を行うという計画の発表にはハダジ財相も参加したが、その際に記者団から質問を受けた。
ハダジ財相はその際、「ドル高への干渉を行うか」と質問され、「ドル高はあと数日で止まる 」と答えた。財相はさらに、「国に良かれと思って対処を行っているのは中銀の通貨政策委員会だ。別の思惑などない」として、中銀の立場を擁護。改めて、中銀と連邦政府の対立終結を強調した(2)。
この発言が行われた後、サンパウロ証券取引所(B3)では、1ドルが前日の5・66レアルから1・71%安の5・56レアルに下がっている。
ハダジ財相は16時30分からもルーラ大統領と会合を行った。この会合にはシモーネ・テベテ企画予算相やルイ・コスタ官房長官、エステル・ドウェック公共サービス管理革新相、アレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官らも参加した。
ハダジ財相はこの会合後、会議に参加した閣僚たちと共に記者会見を開き、8月に提出する2025年の予算案で、複数の省庁を対象に、259億レアルに及ぶ義務的経費の切り詰めを準備していると発表した。義務的経費の切り詰めの一部は年内に前倒しされる可能性がある(3)。
財相によると、これはルーラ大統領がアルカボウソ(財政均衡法)を順守することを約束したで可能になったものだという。ルーラ氏はこの日、プラノ・サフラ発表の席で、「財政責任は我々の約束だ。余計な金はどこにも払わない」と発言。「順守されないままになるのではないか」と思われていたアルカボウソを順守する意志を大統領が示したことも、この日のドル安の一因となっていた(4)。
ハダジ財相は2025年の予算法案に関するスケジュールを早めに進行させ、7月22日に行う支出及び収入報告のプレゼンテーションでより詳しく説明すると発言。連邦政府は「どんな犠牲を払っても」アルカボウソで定めた制限を順守するために、全力で取り組んでいると強調した。