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海賊動画サービスを一斉摘発=中国製受像機で数百万人が利用

2025年12月4日

万華鏡1
ブラジル法務省の捜査官によるサイバー犯罪捜査の様子(Foto: Divulgação/Ministério da Justiça)

ブラジルとアルゼンチンで相次いで実施された、違法ケーブルテレビ受信機(ガット・ネット)や、これらを用いた海賊版ストリーミングサービスの取り締まりにより、両国で多数の違法サービスが停止された。これらのサービスには合計で数百万人の利用者が存在していたとみられる。捜査の対象は、単なる配信サービスにとどまらず、マーケティングやIT部門を持つ組織的な海賊版ネットワークに及んでおり、年間売上は数百億円規模に上ると推定されると3日付G1(1)が報じた。

ブラジル警察は、19年からインターネット上で著作権侵害を行うサービスを取り締まる「404作戦」を展開、今回11月27日に行われた取り締まりもその一環だ。同作戦は、違法コンテンツ配信の停止を目的として、国際的な協力の下で進められている大規模な捜査活動で、すでに3千件以上の違法サイトやアプリが削除されてきた。

今回の捜査では、インターネットを通じて海賊版映画やテレビ番組、スポーツ中継などを提供するアプリやウェブサイトに焦点が当てられ、535の違法サイトと一つのアプリが停止された。中南米地域における著作権侵害防止団体「アリアンサ」によると、これらのサービスの利用者は合計で620万人を超え、うち約460万人がブラジル内の利用者だった。

一方、アルゼンチンでは24年9月に始まったサイバー犯罪捜査が進展し、25年8月に大規模な捜索活動が実施された。アリアンサからの通報を受けたブエノスアイレス市検察局のサイバー犯罪部門は、違法ストリーミングサービスに関連する4企業を摘発。これらの企業に関連する違法サービスは合計36にのぼり、うち22のアプリが停止された。

摘発された企業の中には、マーケティングや販売、カスタマーサポート、アプリの翻訳業務などを担当する従業員が100人以上在籍していたところもあった。捜査当局は、ノートパソコン88台、USBメモリ10本、ハードディスク37台、プリペイドカード568枚などを押収したほか、違法な金銭取引の痕跡も確認。現金と暗号通貨合わせて約2千万円相当が押収された。

11月7日付G1(2)によると、ブラジルは23年、中国から約170万台の非正規ケーブルテレビ受信機を受領した。これらの端末の多くは、工場出荷時から「My Family Cinema」や「TV Express」など複数の違法ストリーミングサービスが予めインストールされており、ユーザーは月額3〜5ドルで映画やテレビ番組、スポーツ中継を視聴できる仕組みになっていた。

 輸入された端末の大半は海上輸送で到着し、約50%がサンパウロ州サントス港、21%がパラナ州パラナグア港から入った。多くはサンパウロ市サンタエフィジェニア街界隈で販売されていた。非正規ケーブルテレビを使った違法サービスはテレビ画面から直接コンテンツを楽しめる利便性から、家庭内で急速に利用者を増やしていた。だが、個人情報漏洩やマルウェア感染、ネットワーク攻撃などのリスクも指摘されている。

取り締まりの影響としては、違法サービスに支払った料金の返金が困難になる点が挙げられる。サンパウロ州消費者保護センター(ProconSP)は、消費者が違法サービスを利用することに同意している場合、その権利を放棄したと見なされると警告。また、合法的なケーブルテレビ受信機やサービスを利用する際は、必ず国家電気通信庁(Anatel)の認証を受けた機器を使用するよう推奨している。

アリアンサによると、今回の捜査対象となった海賊版サービスの年間売上は、アルゼンチンだけで約1億5千万ドル(約232億円)に達すると推定されている。これらのネットワークはブラジルとアルゼンチンにとどまらず、メキシコ、エクアドル、南アフリカなどにも広がる。インターネットを通じた違法コンテンツ配信の規模は急速に拡大しており、犯罪組織による海賊版ネットワークの運営も高度化している。


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