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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=2

2024年7月6日

「この港の市長たちが来ると困るが、現実に話せないのは如何ともなし難い。我等は東京外語のスペイン語科で学んだとはいえ、スペイン語とポルトガル語はやはり異なった言語だ」
「そのスペイン語でさえ、まだ在学中だった我々の実力は頼りない」
「音楽をかなでて歓迎してくれる異国人の心根はうれしいが、やはり困ったものだ」
月見草が咲くように、溜息がホッと若者のロから漏れた。
「そんな弱音を吐いているうちに、いまにも市長の一行が来たらどうするの!」
「仕方ない。我等一同及ばずながら知っているかぎりのスペイン語を口々に並べたてて、返礼の挨拶にかえることにしようではないか」
...

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