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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=23

2024年8月21日

 農場内の売店が、町の倍くらい高いのは事実である。賑やかな町と較べて客が少ない売店の品が割高なのは仕方ない。それに利権と結びついた独占事業でもある。
 金券といっても、内実は前借しのチケットなのだ。換金する義務はなかった。しかし、日本人たちの要求は大目に見てやろうと彼は思った。初めての人種である。人数も少ない。甘やかしすぎないように注意すればいいのだ。
「よし」
 とサルトリオは頷いた。
「今夜、事務所に必要なだけの金券を持ってくるように。すぐ金に換えてやろう」
 運平は礼を言って耕地へ戻った。

 ……次の日曜日の午後、運平は数人の若者と共にグアタパラの...

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