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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=24

2024年8月23日

「どうしたのですか! 上塚さん」
 部屋にヨロヨロと入って来た周平を見て、思わず大声をだして運平は腰を浮かした。監督の家の一室を借りた仮住いである。
「酒はないか」
 周平は言った。
 サトウキビから蒸溜した強いピンガを出すと、
「うん……」
 とうなずいて、コップに並々と注ぐと、苦しそうに一息に飲み干した。
「どうしたんですか」
 運平は呆然として、そんな周平を見た。
「ここはどうだね。……皆働いているか」
 二杯目のピンガを注ぎながら、低い声で周平は訊ねた。
 大体がボソボソした話し方をする人だが、今日は特にひどかった。目を伏せてコップにも...

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