アマゾナス州=違法金採掘者が連警襲撃=浚渫船200隻破壊に怒り

アマゾナス州南部のウマイター港で21日、マデイラ川に分散していた砂金採掘用の浚渫船を破壊されたことに腹を立てた金採掘者達が、不法採掘の取り締まりを終えて帰港した連邦警察官達を襲撃する事件が起きたと同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。

連警は国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)や国立先住民族保護財団(Funai)と協力し、20日から、アマゾナス州南部での金の不法採掘撲滅のためのプレンサ作戦を実施中だ。同作戦は少なくとも10日間をかけて進められる予定で、20、21日にはマデイラ川やその支流で不法採掘を行っていた浚渫船約200隻が破壊された。
金採掘者達による襲撃は同作戦で金の採掘を続けることが困難になったことなどを不満として起きたもので、21日14時40分頃、ウマイター港に戻って来た連警警官や連警のヨットなどに爆弾や爆竹を投げつけた。
連警警官らはこれに対し、ゴム弾や催涙ガス弾で応戦。金採掘者達は慌てふためきながら逃げ出した。
連警の作戦に不満を抱いた金採掘者達の犯罪行為はウマイター港での連警警官襲撃だけではなく、ウマイター市中央部の公的機関のビルも攻撃されたが、攻撃を受けた施設や船、連警警官には大きな被害は出ておらず、不法採掘者が少なくとも16人逮捕された。
アマゾナス州保安局は事件後、ウマイター市の状況は監視しており、軍警が市警と協力して治安維持に努めているという声明を出した。
連警は22日、同作戦では最初の3日間で浚渫船や筏223隻を破壊したと発表。また、「不法採掘は水銀やシアン化合物による川の汚染を引き起こし、環境や公衆衛生に深刻な被害を与える上、先住民族居住地域への侵入で伝統的な先住民族の文化への干渉も起きている」という声明も出した。プレンサ作戦は当初の計画通り、目標到達まで続けられる。
金の不法採掘による弊害は、2023年1月に公衆衛生上の非常事態宣言が出たロライマ州ヤノマミ族居住地の例でも明らかだ。ヤノマミ族居住地では、川の水や土壌が水銀で冒され、魚や農産物を介した水銀中毒などの健康被害や不法侵入者による強姦、強奪に搾取といった犯罪が増え、地域経済も破壊する。
ヤノマミ族居住地では先住民自身や連警、軍、国家治安部隊などによる不法採掘撲滅のための活動が続いているが、7月26日付G1サイトなど(3)(4)によれば、先住民居住地を追い出された不法採掘者達が別の地域に逃れた後に舞い戻り、同様の活動を繰り返していることや、不法採掘者の活動が拡大していることが明らかだ。7月16日付アジェンシア・ブラジル(5)によると、ヤノマミ族居住地では7月上旬までの5カ月間で1千件の作戦が行われたが、今回の出来事は、不法採掘はヤノマミ族居住地だけの問題ではないことや不法採掘撲滅のための作戦は他地域でも行われていること、不法採掘で私腹を肥やしている犯罪者や犯罪組織は今も活動を続けていることなどを浮き彫りにしている。