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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=25

2024年8月24日

 上塚周平は隣のサンマルチーニョ農場から来たのだった。そこは初めの予定では運平がかけもちで通訳をすることになっていたが、距離的に不可能だと分ったので鈴木貞次郎が通訳となって行っていた。ストライキがこじれ、州兵まで出動する大騒ぎになって、十二家族の農場追放で一応おさまったという。
「皆はどうなったんですか?」
 運平は通訳仲間の四人の顔を想い出しながら訊ねた。
「加藤は?」
「移民たちとケンカしてやめたよ゚移民たちも散り散りになった」
「嶺は?」
「まだカナンにいるが、夜逃げする者が多くて、いつまで保つか……」
「仁平は?」
「農場をクビになった」
...

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