BRICS=パレスチナが加盟申請=ルーラの後押しが契機に=ロシアでの定例会議後に

26日にロシア駐在のパレスチナ大使アブデル・ハフィズ・ノファル氏は、パレスチナ自治区が10月のロシアでの首脳会議後にも、BRICSへの加盟申請をする見込みだと話した。パレスチナの加盟はルーラ大統領も強く後押ししている。27日付メトロポレス(1)などが報じている。
ルーラ大統領は昨年11月の時点で、パレスチナの国家承認を強く推薦していた。BRICSは11月21日に、ガザ地区でのイスラエルとパレスチナの紛争に関する緊急会談をヴァーチャルの形で行っていた。
ルーラ氏はそこで、パレスチナの武装集団ハマスのイスラエルへの攻撃を批判し、その際に彼らがとった人質の解放を求めたものの、イスラエルが行う攻撃による、ハマスとは無関係の女性や子どもを含むパレスチナの人々が多数、犠牲となり、命を落としている現状や、戦火が近隣諸国に拡大する可能性を問題視していた。
ブラジルや南アフリカは国連安保理事会に休戦案を提出しており、安保理でも審議されたが、加盟国からは多数の賛同を得ながらも、米国の拒否権によって成立が阻まれていた。(2)
ルーラ氏はこの会議の際、他の参加国にパレスチナの国家建設を手助けするように求めている。ブラジルはパレスチナの国家承認が国際的にも早く、ルーラ第2期政権の2010年に承認しているが、ガザ危機を期に承認速度が急速に上がり、2024年6月の時点で国連加盟193カ国中145カ国が承認している。ガザ危機前までは承認していない欧米諸国が多かったが、最近はスペイン、ノルウェー、アイルランドなども承認に回っている。
この時期は、BRICS自体も参加国の増加や拡張を望んでいるタイミングでもあった。BRICSは2023年8月の会議で、従来のブラジル、中国、インド、ロシア、南アフリカに加え、アルゼンチン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、イランの加盟を承認。2024年1月1日から、この新体制となっている。
そのうち、エジプトは、ガザ地区の外国人の帰国ルートとして機能し、イランはイスラエルと現在敵対関係にある。イランは今年4月、BRICSに対し、イスラエルの蛮行に対して反対の立場を示すよう求めている。
今回のパレスチナのBRICS加盟申請はこうした背景の中で行われる。同国が加盟を表明した直接的なきっかけは、今月13日にロシアのプーチン大統領がパレスチナ自治区のマムド・アバス大統領を10月にロシアのカザンで行われるBRICS会議に招待したことにある。
「プーチン大統領は今回のBRICS会議をパレスチナのために捧げると約束してくれた。我々の期待もかなり高まっている」と、ノファル大使は声明で語っている。また、「今回の招待は、どんなに犯罪的な破壊行動の犠牲になろうとも、パレスチナが生き延び、発展することを願うというメッセージでもある」とも強調している。