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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=28

2024年8月29日

  夜逃げせし移民思うや枯野星 瓢骨
 とあった
 上塚が訪れて去った日から一週間ほど過ぎた。サン・マルチーニョで派手な騒動があった噂は、ここにもすぐ伝わっていた。こうなったら騒いだ方がトクだ、という投げやりで殺気だった雰囲気が濃厚になっていた。
 運平が一日の仕事を終えて帰ってくると、井上馬太郎の妻の亀寿が夕食を運んできた。
 彼は農場本部の食堂で食事をしていたが、米が出ないので、週に何度か亀寿に食事を作ってもらった。
 グァタパラにもリオ・グランデ・ド・スール州から米は入っていたが、祭日に、豆の上にパラパラ振りかける程度の調味料なみの使い方だった。これ...

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