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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=32

2024年9月4日

 サルトリオは三家族の家長の名を言った。
 運平の通訳を聞いて、家長たちは唖然とした。暫くして、やっと我に還ったように口々に懇願しはじめた。
「通訳さん、言ってくれ、それはひどい。わしたちは、こうやってもらいたいと思ったことを、言ってみたまでだ」
 サルトリオは表情を変えなかった。
「ノン、この農場のやり方を変えることはできない」
「そんなこと言うても」
「絶対に変えられない」
「……」
 気押されて、人々は動転したまま顔を見合わせた。
「それもいいさ!」
 突然、西が昂然と言い放った。
「おれは自由になれたんだぞ。アルゼンチンへ行くぞ。……な...

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