ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(11)

彼の生家は県内の農村地帯の素封家だった。十一歳の頃、母親が縁者の家を訪問中、発病、そのまま同家で療養していた。そこへある日、見舞いに行く。その旧家の庭先、母の病室の近くで何げなく佇んでいると、晩秋の透明な光の下に、突如「錦絵に見るような美少女」が現れ、柿の実を一つ、手のひらに乗せてくれた……。
少年は呆然としていたらしい。初恋が始まった瞬間である。これが、彼...
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