ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(14)
仙台の藤崎商会の野間たちは、支店開設のためやって来た。サンパウロ市の中心街に、日本製の雑貨品を売る店を開け、早々から繁盛させていた。
この藤崎商会は、店主の藤崎三郎助という人が、進取の気性の持主で━━明治の地方商人としては驚くほどの行動力であったが━━欧米を視察、フランスその他に日本製品の輸出を試みていた。
そんな時期、堀口の講演を聞き、サンパウロへ支店を……ということになったのである。今日風に言えば、進出企業の第一号であった。その店員たちは派遣社員のはしりということになる。
後藤武夫は、藤崎商会の人間ではなかったが、出発前に仲間入りさせて貰っていた。...
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