ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(20)
そこに馬で見回りに来るフィスカールは、ピストルを腰に鞭を手にしていた。労務者を威嚇する道具であった。
その三。フィスカールや彼らを管理する支配人たちと移民の意志疎通が円滑にいかなかった。
その疎通を図るため通訳がファゼンダ六カ所に一人ずつ配置されていたのだが、南樹を除く五人は実は日本でスペイン語しか学んでいなかったのである。
水野龍は、ポルトガル語を学んだ通訳を確保できなかったため、それに似たスペイン語の履修者で間に合わせようとしたのだ。そういう性格であった。
南樹も、ブラジル生活二年ほどでしかなく、ポ語の会話能力は未熟であった。
その四。水...
有料会員限定コンテンツ
この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。
認証情報を確認中...
有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。
PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。