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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=49

2024年10月1日

 上塚周平は前年に移民会社の代理人を辞めて日本へ帰った。通訳五人男ともてはやされた仲間たちも遂に芽が出なかった。仁平は肺を病んで日本へ帰った。結婚したばかりの新妻を連れて帰る金もなく、独りで咳をしながら船に乗った。
 語学の天才を自ら任じた加藤も浪々の身となったまま定職といえるものもなく賭博にうさを晴らしているらしかった。大野は何とか成功しようとあがいて、次第に山師的な仕事に深入りしていた。ブラジルで生まれた女の子も鉄道工事監督で奥地に行ったときにマラリアにかかって、まもなく死なした。嶺はリオに行って商店員となったが、またサンパウロに戻ってブラブラしている。
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