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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=50

2024年10月2日

 「忙しい処を呼びたてて恐縮ですな」
 松村総領事が入って来た。中肉中背、色は浅黒いが、親しみのもてる感じだった。
 「わざわざお電話いただいて光栄です」と運平は頭を下げた。
 「貴方の名はかねてから聞いています。ぜひ会いたいと思っていた」
 「田舎者です」
 「とんでもない。背広の着こなしもいい。田舎者といっても通りませんな」
 固くなった運平をくつろがせるような言い方を松村はした。
 松村はペトロポリスの公使館では運平の功績を非常に高く評価していることを一しきり述べたあと、近況を訊ねた。
 運平は問われるままにグァタパラの邦人の生活振りを話した。...

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