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大サンパウロ市圏=2年連続で200万世帯大停電=再び問われるEnelの責任=ヌーネス、ボウロス怒り心頭

2024年10月15日

Enel批判を行うヌーネス氏とボウロス氏(Instagram)
Enel批判を行うヌーネス氏とボウロス氏(Instagram)

 11日、時速107・6キロという暴風を伴う雨に見舞われ、大サンパウロ市圏で大規模停電が発生。被害者は一時、200万世帯を超えたが、電力配給会社Enelの対応が遅れ、丸2日経ってもまだ、100万世帯を超える人たちが電気のない生活を強いられた。同様の大停電は昨年11月にも発生。これに対し、サンパウロ市市長選候補で決選投票に進んだリカルド・ヌーネス市長(民主運動・MDB)とギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)が強い不満をあらわにし、Enelを法的手段に訴えている。(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)
 11日19時頃、大サンパウロ市圏を、1995年の計測開始以来で最大勢力の暴風雨が襲った。サンパウロ市南部のショッピングセンター「SPマーケット」ではこの強風で屋根の一部が剥がされ、駐車場の車に当たるなどの被害が発生したほか、至る所で洪水や倒木、停電の被害が相次いだ。
 12日午後の発表によると、サンパウロ市内では386本の倒木が報告され、168基の信号機の電気が消えた。停電が目立ったのはピニェイロスなどの西部やカンポリンポのような南西部、サントアマロなどの南部だった。また、サンベルナルド・ド・カンポ、コチア、タボアン・ダ・セーラなどの近郊諸市でも停電が相次いだ。
 12日午前中のEnelの発表によれば、サンパウロ市では90万人、大サンパウロ市圏も含めれば140万人が電気のない生活を強いられたという。Enelは同時点で「復旧のめどはわからない」としていたが、午後になって「月曜(14日)には回復する」と発表した。
 Enelは昨年11月5日にも、はやり暴風雨のため、契約する200万世帯以上が数日間に及ぶ停電となり、問題となり、対策を講じると約束していた。
 だが、今回も、昨年提示していた数の従業員を投入できずに対応が遅れた。これに激怒したのがリカルド・ヌーネス市長だった。同市長は前回の停電の際もEnelの対応の緩慢ぶりを強く批判し、サンパウロ市での事業の見直しを求めていたが、今回の件でも「Enelが市の電気をめちゃくちゃにした」とインスタグラムを通じて批判を繰り返すと共に、自分自身が災害対策センターで復旧に向けて働く姿をアピールした。
 その点は、ヌーネス氏と27日に行われるサンパウロ市市長選の決選投票の対抗馬、ボウロス氏も同様だった。同氏の住むカンポリンポでは電気の回復が遅く、「18時間経ったがまだ戻らない」との報告を出す一方、街に出て暴風雨の被害状況をレポートした。
 ヌーネス氏、ボウロス氏共に、12日までにインスタグラムで停電問題に関する投稿を15〜20回行っている。ヌーネス氏はさらに、ボウロス氏を推すルーラ大統領が元がイタリア企業であるEnelの伯国事業の更新を考えているとの記事を持ち出して批判(後にネット上での捏造記事であったことが判明)を行った。対するボウロス氏も、「市長が何年もいない状況が問題を悪化させている」との言葉で、副市長から昇格して市長となったヌーネス氏を批判するなど、市長選のキャンペーンにもなっていた。
 ボウロス氏はサンパウロ州検察局に対し、停電の件でサンパウロ市とEnelを調査するよう訴え、ヌーネス氏を支持するタルシジオ・デ・フレイタスサンパウロ州知事も国立会計検査院(TCU)にEnelの事業内容を監査するよう求めた。
 また、国家電力庁(Aneel)もEnelの対応の遅さを問題視し、同社に対して停電に関する報告書の提出を求め、停電対応の人員を増やすよう要請した。また、13、14日には他州の配電会社などとも会合を開いて協力を要請。大サンパウロ市圏での停電回復を促している。
 停電の回復は思うように進まず、13日になっても90万世帯以上、14日朝の時点でも50万世帯以上の市民が停電に悩まされている。バールやレストラン、その他の商店も甚大な被害を受けたとEnelを訴えている。


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