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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=67

2024年10月26日

 運平は洗い終った馬を適当な処につないでおくように頼むと、自分の小屋へ濡れた服を着換えに戻った。
「すごい処だな、兄さん。イサノさんがビックリしてるよ」
彦平が笑った。
「グァタパラのような訳にはいかんさ。当分は此処で辛棒しろ」
 弟にともイサノにともつかずそう言って彼は小屋をでた。
 文野の小屋を覗いて彼はハッと胸をつかれた。専は見違えるほど痩せおとろえていた。まだ四十四才なのに百才の老婆のようだ。死期が迫った人間の姿だった。その隣で馬太郎が脂汗を流しながらうめいている。息子の勝馬も寝ていた。
「どうしたんだ!」
 運平は思わず叫んだ。
「おい勝馬...

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