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ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(45)

2024年11月5日

 山下永一

 平野植民地は、当初八十二家族だった入植者が、入植の翌々年の一九一七年十月には三十家族に減じていた。その頃、平野は、植民地維持を断念したことがある。残留者を呼んで、退去を勧めた。
 「オイ、お前も出んかい」
 と言われた山下永一という男がいた。
 しかし山下は「自分は、最後の一人となるとも植民地を死守するつもり」でいた。事実そのようにした。大蝗害、大旱魃、大霜害の時も「不動の鉄石心を維持していた」と、資料類にある。
 植民地は、この山下たちが再建した。。
 山下は平野より二歳ほど若かった。兵庫県人で、県の蚕種指導員をしていた。陸軍に在籍した時...

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