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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=78

2024年11月12日

 しかし、話をしてみると戸田は気さくな男だった。陸軍で看護卒をしていた経験があり、コーヒー農園を出てサンパウロでモグリの歯科医を開業するべく器具を買ったが、借金でどうにもならず弱っていた処に、松村総領事の話を人伝えに聞いて都落ちを志願してやって来ましたと言った。従って、家族を置いて単身で来るという訳にはいかないと言う。
 松村総領事のポケットマネーから何がしか出ているにせよ、運平も医師としての報酬を払うなどとても出来ない相談だから、危険だとは思ながら戸田の家族全員の移住を認めざるを得なかった。戸田は家族と共に畑をたがやしながら、マラリヤの治療に当ると張切っていた。...

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