ウチナーグチ講座開講16周年祝う=「故郷の言葉忘れれば国忘れる」=沖縄文化教育のエザトゥス校

沖縄文化に基づいた教育を行う学校コレジオ・エザトゥス(Colégio Exatus)が10日、サンパウロ市のブラジル沖縄県人会ビラ・カロン支部で、ウチナーグチ(沖縄語)講座開講16周年を記念したイベント「沖縄の色」を開催した。沖縄県系人を中心に約300人が来場し、同団体の長年にわたる活動を称え、今後の発展を祈念した。
同校は1990年に高良ジュリオ氏によって創立された。2000年代初頭からジュリオ氏の兄のアウグスト氏、息子のケイジ・エルトン氏が経営に参画し、沖縄の教えに基づいた教育、沖縄文化の普及により力を入れるようになった。創立当初は高校生20人が在籍する程度の規模だったが、現在はサンパウロ市東部地区に2つの校舎を構え、約720人の生徒が在籍している。生徒の60%は東洋系(主に日本、その他は中国と韓国)の子孫。ユネスコ学校ネットワークにも加盟し、保育園(生後6か月)から高校(17歳)までの基礎教育を提供している。
記念イベントでは、沖縄の伝統的な踊りや音楽が披露され、豊かな沖縄文化の世界が来場者に紹介された。ウチナーグチ講座教師の与那嶺恵子さん、日本語教師のマリ・マツバラさん、エルトン校長によるユンタクカイ(語り合い)が行われ、沖縄や日本にルーツを持たない来場者に向けて、言語学習の重要性が説明された。
同校ではウチナーグチの授業に加え、沖縄の伝統楽器である三線と琉球舞踊の授業も提供しており、イベントでは生徒たちの練習成果発表も行われた。

同イベントは、エルトン校長の妻である高良アケミさんが提案し、琉舞指導者の斎藤悟さんの協力を得て実現。また、イベントの開催目的には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が定める絶滅危機言語保護活動「国際先住民族言語の10年」に対する同校の取り組みを可視化することもあった。
挨拶に立ったエルトン校長は「ウチナーグチには、私たちの祖先の教えと知恵が込められています」と語り、同校でウチナーグチの授業を行うことの意味と、次世代にウチナーグチを伝えていくことの重要性を強調。「このイベントは単なる沖縄芸能の披露会ではありません。新しい世代をインスパイアし続ける、祖先の文化が生きている証です」と述べた。
沖縄の諺には「んまりじま ぬ くとぅば わしねー、くにん わしゆん。くに わしねー、うやん わしゆん(生まれ故郷の言葉を忘れれば、国を忘れる。国を忘れれば、親を忘れる)」というものがあり、「黄金言葉(くがにくとぅば)」と呼ばれる、これら祖先の知恵を伝える言葉の授業はウチナーグチ講座の柱の一つとなっているという。同校詳細は公式ホームページ(https://colegioexatus.com.br/)から確認できる。