site.title

小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=95

2024年12月7日

 どうやら動ける日もある。彼は杖をついて見舞いに歩いた。彼が高熱にうなされている時、再びバウルの医師が乞われて往診したがーー転地をして、栄養と休息をとれば直る――と診断をして帰った。確かにその通りだろう。しかし、現実には不可能だった。
 ……稲が黄金に色づいていた。穂も重そうに重なっている 。熱の合い間に動ける者が緩慢な動作で収穫していた。ほんの一週間はどの食いぶちを穫るともう疲れて動けないのだった。
 彼は畑中に頼んだ。
「ペンナ駅で人を集めて米を収穫して貰ってくれ」畑中は馬に乗って走っていった。足許を見られて高い日当を要求されても、背に腹は替えられない。こ...

会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...