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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=98

2024年12月12日

 しかし、今では一アルケール当り百五十ミルの伐り代を払える家族はない。運平は困ったが、新しく入植しはじめた家族のをほんの申し訳に伐ってもらうことにした。マラリヤに遇わなかった家族は請負師を頼む余裕があった。クストリオもマラリヤの惨状を聞いていたから違約をせめず、小面積の仕事を引受けてくれた。
 請負師は斧使いに一日五ミル、鉈使いに四ミルの日当を払う。道具は請負師の負担である。悪質な請負師は飯場で人夫に煙草や酒を高く売り、日曜日には女を連れて来てその上前をはねるという。クストリオは一切そういうことをせずに仕事の能率を上げることを第一にしていた。だから、彼の配下には優...

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