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「百周年へ向かって」テーマに=VGP日本文化学校創立90周年

2024年12月13日

記念品を贈呈された歴代教師と現役教師
記念品を贈呈された歴代教師と現役教師

 「百周年へ向かって」―。ヴァルゼン・グランデ・パウリスタ文化体育協会(谷口勉会長、VGP文体協)傘下の同日本文化学校(古川敬三教育部長)創立90周年記念式典が12月8日、サンパウロ州VGP市の同文体協会館で開催され、同校卒業生や文体協関係者など約300人が出席した。古川教育部長は10年後の創立100周年に向けて冒頭のテーマを強調し、「皆が一体となって進んでいきたい」と意気込みを表していた。

 1932年に聖南西地域で最も早く創立したVGP文体協は、旧コチア産業組合中央会と関わりが深く、同文体協会員のほとんどがコチア組合員だった。34年、海老名行三(えびな・こうぞう)氏が初代日本語教師となり、当時は「日本人小学校」と称して発足したVGP日本文化学校。60年代の最盛期には300人を超える生徒数を誇ったが、現在は5~13歳の生徒約40人のうち、8割は非日系だという。時代の移り変わりとともに、日本語教育のスタイルも変化し、現在は日本語以外に体育、絵画、折り紙、調理等の日本文化も導入している。
 8日、式典を前に午前10時から執り行われた先亡者追悼法要はイビウナ日伯寺僧侶の櫻井聡祐(そうゆう)氏が導師を務めた。
 引き続き、午前11時過ぎから記念式典が行われ、来賓として、在サンパウロ日本国総領事館の清水享総領事、ブラジル日本文化福祉協会の上辻ネルソン理事、ブラジル日本語センターの矢野敬崇(のりたか)理事長、聖南西文化体育連合(UCES)の古川シルビオ会長も登壇。それぞれ祝辞を披露した。
 VGP文体協の谷口会長(62、2世)は式典あいさつで、自身も7歳から同校に通った卒業生であり、日本語以外にも野球や卓球など様々な活動を通じて友達らと遊んだ思い出を振り返り、「当時の経験が現在の私の人格を作ってくれた」と述べ、今回の式典開催について関係者への感謝の気持ちを伝えた。
 同じく同校卒業生である古川教育部長は、現在の日本語教育の現状が創立当初とは変化していることに触れ、「10年後の日本文化学校創立100周年に向けて各部門の方々と一体となって進んでいきたい」と意気込みを表した。

除幕された記念プレート。右から谷口会長、古川教育部長ら
除幕された記念プレート。右から谷口会長、古川教育部長ら

 舞台上での創立90周年記念プレート除幕後、歴代教師ら10人と現役教師である西村アンジェラさん、吉(よし)クリスチアーネさんの2人を含む計12人に記念品が贈呈された。
 谷口会長と現役教師2人によるケーキカットの後、歴代教師の一人である黒木美佐子さん(86、宮崎県)が乾杯の音頭を取り、「乾杯、万歳、おめでとう」と発声して杯を掲げた。
 10年ほど前に日本語教師として習字や日本の童謡などを教えたという黒木さんは「こんな目出度い日に乾杯の音頭を取らせていただいたのは名誉なこと」と笑顔を見せる。
 VGP文体協の近くで生まれ育ったという古川文子さん(88、2世)は、「私は(第3代日本語教師の)茅根貞勝(ちのね・さだかつ)先生の奥さんから日本語のほか、唄や踊りも習いました。その頃は寄宿舎もあったけど、私は家が近かったので歩いて通ってね。今でも日本語を話すので(日本人)1世かと思われるのよ。日本語学校も昔と比べて大分と変わったよね」と往時を懐かしんでいた。


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