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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=99

2024年12月13日

 「アイテテテ……」
 としびれた手をかかえてしゃがみ込むのだ。
 鉈だって長い柄をすげているから、振りまわしているとヘトヘトになる。指を切ったり、睾丸を打ったり、果ては俄かに倒れかかる木に片足をはさまれたり、自前でやるのは楽ではなかった。
 半月から一カ月はど乾燥させて、火を放った。
 「こんな素晴らしい木を燃してしまって勿体ない」と誰もが思うが、それしか方法はなかった。
 組をつくって森を取り囲み、朝露が乾いた十時頃に一斉に火を付ける。
 パチパチと音がして、明るい陽光の中にだんだん炎が立ち始める。火が盛んになるとゴウゴウと耳を聾する大音響を立てて森...

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