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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=103

2025年1月7日

 パラパラと大粒の雨が降るようにその生物は地上降り始めた。
 「イナゴだ!」
 「イナゴにしては大きいぞ。バッタだ!」
 黄色いぽい茶褐色のバッタだった。大きさは六㌢くらいであろうか。疲れ切っているらしく、地表に降りると力なく歩き廻っていた。
 ゴーッともブァーとも聞える異様な響きが上空をおおっていた。それに混ってキチキチと舞い降りる翅音が段々繁くなった。群の中心がこのあたりに降下しはじめたのだ。
 「これはえらい事だぞ」
 「驚いたなぁ」
 運平たちはあっ気にとられて地上と空を交互に眺めた飛んでいる群の幅は五㌔㍍くらいありそうだった。長さはずっと長い...

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