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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=104

2025年1月8日

 運平は石油カンを投げすてると家へ飛び込んでベッドの敷布やフトンカバーを抱て戻った。カンを叩いて追い、素速く布を野菜にかぶせる。囲りに小石を置いてしっかり押えた。
 バッタは布にとまったが、布を喰い破るそぶりはなかった。たゞ動き廻っているだけである。
 運平はありとあらゆる布……シャツ、風呂敷、合羽、手拭いを持ち出して野菜にかぶせた。流石にジョゼのおしめだけは持ち出さなかった。トウモロコシは丈が高いから、手の下しようがなかった。すっぽりとかぶせられるほどの大きな布はない。
 バッタは次々に飛来して小さなトウモロコシ畑に降りた。バッタの上にバッタがとまり、とまり...

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