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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=108

2025年1月14日

 空に茶色い雲が湧き、高度を得ると銀色に輝き始めた銀色の雲は風に流される煙のようにたなびいて遠く移動していって、遂には地平線近くの空にとけ込んでしまった。地上には無数のバッタの死屍と虚脱状態の人間たちが残った。
 午後雷雲が暖かいにわか雨を赤い土に叩きつけた。
 「すぐ種をまこう」
 かなり時期が遅れているが、僅かの収穫でも待たなければ生きていけない。バッタとの連日の闘争で疲れ切っていたが、休むひまはないのだった。空袋を背に負い、雨の中で鍬を振りはじめた。
 雨に恵まれて、種は再び青々として芽をふいた。赤い土が青く萌え、初夏の太陽と雨が連日訪れて芽をぐんぐん...

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