COP30の議長決まる=米国がパリ協定離脱の中

【既報関連】トランプ米国大統領によるパリ協定からの離脱宣言が今後の気候変動への取り組みにどのような影響を与えるかが懸念される中、11月にパラー州ベレンで開催される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第30回契約国会議(COP30)の議長が決まったと21日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
議長に選ばれたのは外交官のアンドレ・コレア・ド・ラゴ氏だ。同氏は2001年から持続可能な開発に関する働きに就いており、2023年には現政権が創設した外務省の気候・エネルギー・環境局長に就任。2011~13年と2023~24年に開催された気候変動に関する国際会議にはブラジル代表として参加しており、昨年開催されたG20でも環境問題に関する部門の責任者を務めるなど、様々な交渉の責任も負ってきた。
ラゴ氏の議長指名はルーラ大統領がマリーナ・シルヴァ環境相、マリア・ラウラ・ダ・ロッシャ外務省副大臣らとの会合で決めたもので、環境相らが会合後の会見で発表した。会見では、環境省気候変動局のアナ・トニ局長がCOP30のエグゼクティブディレクターを務めることも発表された。この二人は、24年11月にアゼルバイジャンで開かれたCOP29にもブラジル派遣団のメンバーとして参加している。
環境相は、この二人はCOP30のプロセス全体の内容や交渉、リーダーシップにおける基本的かつ戦略的な立場を占めると説明。物流とインフラは大統領府(官房長官)の管轄となる。
ラゴ氏は発表後、「COPには様々な側面があり、1992年にリオ市で開かれた国連環境開発会議が気候変動や環境、生物の多様性などに対する国民認識に大きな影響を与えたように、ブラジルにも非常に大きな意味を持っている」「準備期間中はプロセスへの関与が不可欠な民間社会とも多くの対話を行う予定だ。リオ92同様、国民が気候変動と闘うためのアジェンダに参加し、その成功に貢献しなければならないからだ」と述べた。
議長国として正式に責任を負うのは11月の公式開会からだが、議長指名により、交渉の成功を確実にし、各国間の対話を促進するための努力はブラジルが主導することになる。
なお、米国のパリ協定離脱でCOP30が空虚なものにならないかという問いをうけたラゴ氏は、「米国は協定を離脱したが、UNFCCCの署名国であり続ける」と明言。「米国は最大の経済大国であるだけでなく、最大の温室効果ガス排出国の一つで、技術面で気候変動に対応してきた国の一つでもある、重要なプレーヤー」「米国には素晴らしい企業があり、この議論に深く関わっている州や都市もある」「トランプ氏の決定は分析中だが、COPの準備や、このように重要な国がプロセスから撤退するという事実にどう対応するかに大きな影響を与えることは間違いない」と付け加えた。
マリーナ環境相はトランプ氏の就任前からパリ協定離脱を予測し、その影響を懸念していたが、トランプ氏は地球温暖化を促進しかねない政策も発表。ブラジルは今後、州や都市単位での対話を進める必要がありそうだ(20日付G1サイトなど(4)(5)参照)。
なお、22日付G1サイト(6)によると、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は22日、気候変動対策に関して「ある程度の不信感」があることを認める一方で、地球温暖化抑制という目標を再確認することが「基本」とし、COP30の成功を確実なものとするために「全面的に尽力する」と約束した。