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藤間流日本舞踊学校=第62回新春踊り初め=門下生が37演目を披露

2025年1月28日

フィナーレの『令和音頭』
フィナーレの『令和音頭』

 藤間流日本舞踊学校(江口桂校長)主催の「第62回新春踊り初(ぞ)めの会」が、12日午前11時からサンパウロ市リベルダーデ区のブラジル日本文化福祉協会(文協)ビル2階貴賓室で開催され、今年はサンパウロ市をはじめ、パラナ州、ミナス・ジェライス州、リオ州など地方からも集まった門下生が37演目を披露した。会場には出演者の家族や友人・知人など約120人が来場し、新年恒例の舞踊を楽しんだ。
 藤瀬圭子さんの司会で進行した踊り初めの会は、最初に江口校長が開会のあいさつ。昨年8月に行われたサンパウロ・大阪姉妹提携55周年式典で、大阪府出身の初代校長で母親の藤間芳之丞(よしのじょう)師(故人)が表彰されたことに改めて感謝の意を表した。また、同舞踊学校が昨年はSESC(ブラジル商業連盟社会サービス)でワークッショップを行ったことや、パラナ州、ミナス・ジェライス州など地方在住者にも日本舞踊の門戸を広げて指導を行っていることに触れ、今年も一丸となって活動していくことを強調した。
 来賓として登壇したパラナ日伯文化連合会芸能部長でロンドリーナ文化体育協会名誉評議員議長の平間靖旺(やすお)氏と楠本留巳文協芸能祭実行委員長の祝辞に続いて、舞台上では江口校長から、この日の最高齢出演者である鈴木美津子さん(90、2世)に「お年玉」が手渡された。
 舞台上では祝賀舞踊として、非日系のベテラン、マルシオ・ガルボン氏による『大和楽(やまとがく)、寿三番叟(ことぶき・さんばそう)』を皮切りに、SESCのワークッショップで指導を受けた生徒たちも『長唄、元禄花見踊り』を披露した。 
 さらに、今回が初舞台となったリオ市在住のアレサンドロ・アギアーさんの『長唄、松の緑』での勇壮な舞や、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテ市から毎月来聖して藤間芳琴(よしこと)氏の下で稽古に励んでいるという日系及び非日系グループの『長唄、関の小万(こまん)』『大和楽、祇園の夜桜』では、艶やかな着物姿と踊りに来場者から惜しみない拍手が送られた。
 休憩を挟んで、後半はベテランたちが『長唄、老松』『長唄、七福神』等を舞い、指導者の田畑弘美氏による『宵宮の夢』、名取で指導者の藤間芳琴氏による『端唄(はうた)、梅は
咲いたか』の舞が観客を魅了。フィナーレは藤間芳琴門下生一同による『令和音頭』で締めくくられた。
 前述のリオ市在住アレサンドロ・アギアーさん(39)はバイア州サルバドール市出身。非日系でありながら13歳の時から日本語を学び、現在はリオ州立大学で物理海洋学を教える傍ら、琴、三味線、尺八等の演奏活動も行っているという。日本舞踊を習い始めたのは2023年10月からで、今回の初舞台について「感動しました。会場に書道やお琴の先生たちも見に来てくれて、すごく光栄です」と語り、充実した表情を見せていた。

出演者とスタッフ全員での記念撮影
出演者とスタッフ全員での記念撮影

 司会役の藤瀬圭子さんは、57年前に先代の藤間芳之丞師から依頼されて「第5回踊り初め」から毎年継続して藤間流踊り初めの司会を行ってきたことを振り返り、「当時、芳之丞先生から『これからは藤間流も若返りをはかり、司会者も若い人でないといけない』と誘っていただいたことが今でも忘れられません」と感慨深げに話していた。
 モスグリーンの着物姿で舞台を見守っていた最古参の名取である藤間芳誠(よしせい)さんは「皆さん、熱心に踊っておられ、大したものだと思いました。今は新舞踊も多くなりましたが、日本舞踊の形も続けていってほしいと思います」と期待していた。


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