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ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(95)

2025年1月30日

 下元一家は、稼ぎ以外にも、堪えがたい苦痛を味わった筈である。
 当時のファゼンダは中世の荘園色を色濃く残していた。
 そこで働く労務者は、元々は黒人奴隷であった。それが十九世紀末、奴隷制が廃されたために、代わりに導入されたのが移民である。だから農場主や支配人、現場監督の労務者観は奴隷時代とたいして変わってはいなかった。
 従って酷い場合は、その住まいは家畜小屋同然で、家具も便所もなかった。農場では現場監督が馬上、拳銃を腰に、鞭を鳴らして怒声で命令した。早朝から夕方まで過酷な労働が続いた。医者も居ず学校も無かった。
 一方、農場主の住居は邸宅であった。
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