世論調査=ルーラ支持率が過去最低=支持基盤含め24%に急落=勢いづく野党大規模デモへ

14日、ダッタフォーリャの世論調査の結果が発表され、ルーラ大統領の支持率が24%まで落ちたことがわかった。これは過去の2期(2003〜06年、07〜10年)の任期も含め、同氏にとって歴代最低記録となり、衝撃を与えている。同日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
10〜11日に全国113市の2007人を対象に行った調査では、ルーラ政権を「良い・最高」と評価した人は昨年12月の調査の35%から24%に急落した。逆に「悪い・最悪」との評価は34%が41%に上がった。「普通」も29%から32%に微増した。
肯定的な評価が24%というのは、過去3回のルーラ氏の任期の中で最低であることで注目されている。各任期3年目の2月の数字を見ると、第1期(2005年)は45%、第2期(2009年)は65%だった。
今回の支持率急落の背景には、ルーラ氏の支持者の間での評価低下がある。2022年の大統領選でルーラ氏に投票した人の間では、昨年12月に66%だった「良い・最高」が今回は46%と、全般の11%Pを大きく上回る20%Pの下降を記録した。特に、これまでルーラ氏が強いとされていた「女性」は38%から24%に、「黒人」は44%から29%に、「低所得者層」は44%から29%に下がった。(2)
CNNブラジルは15日付で、ルーラ政権の支持率急落の理由を五つ挙げた。一つ目は「食費のインフレ」。二つ目は、大統領府社会通信局(SECOM)のパウロ・ピメンタ長官解任に至った「ネットを始めとした連邦政府の通信の問題」、三つ目は「ドル高」、四つ目は3年目になっても見えてこない「第3期政権のレガシーといえる具体的政策の不足」を挙げた。
そして五つ目に、連邦政府が1月に実施した、5千レアル以上の送金に対する監査などの「Pix送金に関する新規定への不評」。これに関しては、各メディアがほぼ共通して支持率急落の大きな要因としてあげており、規定も取り消された。(3)
14日付G1サイトは、世界的な左派の弱体化と右派の強化、効果的な野党、政府の失敗、新しい政策を打ち出せない政府に対する疲労感と変化への欲求、若者とのコミュニケーションの難しさ、保守的な価値観の高まり、中道派連合により選ばれた政府が左翼政策を実施するよう圧力をかけられることによる政治的統合失調、食品価格高騰とPix危機などの経済危機の八つを挙げている。(4)
経済活動低下やインフレ高騰は多くの政権が評価を落とす原因だ。17日発表の中銀の経済活動指数は24年全体では3・8%上昇したが、24年12月は前月比で0・7%落ちている。庶民はこれも肌で感じていたようだ。(5)
このルーラ政権の支持率急落に対し、最大野党・自由党(PL)の上院リーダー、カルロス・ポルチーニョ上議は、「驚くべきことではない。これが現実世界でのブラジルの回答だ」と発言。上院野党リーダーのロジェリオ・マリーニョ上議(PL)は、「ジウマ第2期政権でも見た光景だ」としてルーラ政権の崩壊の予感を口にした。(6)
これに乗じ、ボルソナロ前大統領の支持者たちは3月16日に大規模なデモを行うことを宣言している。これは1月8日三権中枢施設襲撃事件の恩赦を求める内容だが、一部支持者の間で見られているルーラ大統領の罷免要請は、ボルソナロ氏自身が22年大統領選後のクーデター未遂関連の連邦警察の捜査で起訴される可能性があることなどで、同氏自身が制止している。(7)
この支持率急落に対し、ルーラ大統領自身は気にしていない素振りで、「2025年はフェイクニュースに打ち勝つ年にする」と、支持率急落の理由の一つと判断されている虚報への対策を行うことを示唆し、「私自身が国にとって最良の選択であることを証明したい」と語っている。(8)