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ブラジルがOPEC+正式加盟=世界的石油戦略に関与

2025年2月20日

ペルナンブコ州アブレウ・イ・リマ製油所(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)
ペルナンブコ州アブレウ・イ・リマ製油所(Foto: Fernando Frazão/Agência Brasil)

 ブラジル政府は18日、石油輸出国機構(OPEC)の拡大組織である「OPEC+」への正式加盟を発表した。この決定により、ブラジルは世界の主要な石油生産国と共にエネルギー政策に影響を与える戦略的なグループに参加することとなると、同日付フォールン誌など(1)(2)が報じた。
 この決定は国家エネルギー政策審議会(CNPE)で下され、アレクサンドレ・シルヴェイラ鉱山動力相によって発表された。
 ブラジルは1日あたり367万2千バレルの石油生産量を誇り、世界第9位、ラテンアメリカでは第1位の産油国だ。ブラジルは今後、OPECにオブザーバーとして参加し、国際的な石油政策の意思決定に協力するが、石油生産割り当てシステムには参加しない。シルヴェイラ鉱動相は、「この参加はブラジルの自然資源の探索や管理に対する主権を制限するものではない」と強調した。
 この決定はパラー州ベレンで開催される国連気候変動会議(COP30)に向けた準備の一環であり、アマゾン河口域での石油探査拡大を目指す政府の試みとも関係している。
 ブラジル政府は同時に、国際エネルギー機関(IEA)と国際再生可能エネルギー機関(IRENA)への加盟手続きを開始したことも発表した。
 OPECは1960年に設立され、サウジアラビア、イラン、クウェート、ベネズエラなどの12カ国の主要石油生産国が加盟しており、世界の石油生産の約30%、輸出の約60%を占める。
 ブラジルは2023年にOPEC+への参加招待を受けた。ルーラ大統領はその際、石油生産国に対して化石燃料の終息に向けた認識を促し、エネルギー転換のための資金提供を推進する重要性を強調した。また、世界が石油依存から脱却するためには代替エネルギーの開発が不可欠であるとも述べている。(3)
 一方、ブラジルの石油生産拡大に関する決定は、環境団体から強い批判を受けており、エネルギー転換に対する懸念が表明されている。気候観測所のスエリ・アラウージョ氏は、ブラジルのOPEC+参加を「政府の後退」とし、「異常気象の増加と化石燃料需要の削減が求められる中で、新たな採掘を進めるのは過去の解決策に固執している証拠だ」と述べた。
 世界自然保護基金ブラジル(WWF―Brasil)は、ブラジルが再生可能エネルギーへの転換において有利な立場にあることを強調し、「石油依存を続けることは、将来的に、クリーンエネルギー技術を持つ国々に依存する立場に追いやる」と警告した。また、化石燃料の生産国カルテルに参加することがブラジルの農業にも逆効果を及ぼすと指摘。
 さらに、気候変動が引き起こした物価高騰がすでに食料価格に反映されているとし、「エネルギー転換計画なしで気候変動を加速させる決定をしたことは驚きであり、特に、国連気候会議を開催する年における後退的な動きには反対すべきだ」と述べた
 これに対し、シルヴェイラ鉱動相は、「これは単なる協力宣言であり、石油生産国の戦略を議論するフォーラムに過ぎない」と述べた。


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