二大犯罪組織が謎の密約?=殺人禁止、囚人待遇改善も

国家刑事政策事務局が、サンパウロ市を本拠地とする犯罪組織の州都第一コマンド(PCC)とリオ市を本拠地とする犯罪組織のコマンド・ヴェルメーリョ(CV)の間で協力協定が結ばれる可能性について警告する情報報告書を発表したと16日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
この文書は国の刑務所制度における危険な囚人の扱いを緩和するための協調行動などについてまとめたもので、司法当局の許可を得て録音された音声記録の中に、パラトリオと呼ばれる連邦刑務所内の面会所で交わされた囚人と弁護士の会話が含まれている。
連邦刑務所の囚人たちは、カメラで監視された個室に隔離され、日光浴も2時間だけ。面会は週1回で、弁護士などに限定されている上、テレビやラジオ、新聞や雑誌も禁じられており、インターネットや携帯電話も使用できない。
だが、法務省の諜報部門は、PCCのマルコ・ウイリアムズ・カマショ(通称マルコラ)が弁護士に、「彼らは160万筆の署名を集めた嘆願書を作るつもりか?」と尋ねたことを記録。
これは、PCCのメンバーが連邦刑務所システムの中での身体的接触を伴う面会を再開するための法律緩和を求める嘆願書支持のため、投票資格のある人達から署名を集めていることを示している。
連邦刑務所内で身体的接触を伴う面会を禁じているのは犯罪組織のリーダー間のコミュニケーションや調整の仕組みを絶つためだが、同報告書によると、法的活動の統合はPCCとCVのリーダー格の囚人の要求に対応し、犯罪グループを強化するためだ。
ブラジル治安フォーラムのコーディネーターのダヴィジ・マルケス氏は、ブラジルには70以上の犯罪組織や派閥があり、その代表格ともいえるPCCとCVが囚人の要求を実現するために協調行動を起こすことは、「従来の法的対処では対応できない可能性がある」と指摘している。
当局は、犯罪組織の構成員が送ったとされる、路上でのPCCとCVの休戦に関するメッセージについて、その真偽も含めた捜査を行っている。PCC関係者と思われる人物からのメッセージには、PCCがCVとの合意に達し、全ての州での殺人を禁止したとある。また、CV関係者からのものと思われるメッセージには、今月11日以降、PCCへの攻撃は禁止されているとある。
少なくとも20年間、PCCの捜査を担当してきたリンコン・ガキヤ検察官によると、リオ市とサンパウロ市では既に停戦が成立しているという。また、国内二大犯罪組織の統合はルートの共有も意味し、ブラジルへの国際的なコカイン密売や武器密売の増加につながる可能性があり、これらの犯罪組織のさらなる強化につながると警告している。
このような流れの中、17日には全国レベルまたは連邦自治体にまたがる組織犯罪に対応するための組織犯罪対策国家支援グループ(Gaeco Nacional)が公式に設立された。同グループの本部はブラジリアに置かれ、各連邦自治体にある既存の組織犯罪対策特別班(Gaeco)を強化することになる。(4)(5)