検察庁=ボルソナロら34人起訴=クーデター計画容疑等=前大統領「でっち上げ」

連邦検察庁は18日夜、2022年の大統領選後のクーデター捜査で連邦警察から書類送検されていたボルソナロ前大統領ら計34人の起訴状を最高裁に提出した。パウロ・ゴネ検察庁長官はボルソナロ氏に関し、「ルーラ氏の暗殺計画に同意していた」「アレッシャンドレ・デ・モラエス選挙高裁長官(当時)に対するスパイ行為を行っていた」として、クーデターを率いた罪状などで28年の実刑を求刑する見込みだ。
ボルソナロ前大統領は今回、「武装犯罪集団のリーダー」「民主主義の暴力的破壊未遂」「クーデター」「国家の資産に対する暴力および重大な脅威による破壊行為」「国の指定文化遺産棄損行為」の五つの罪状に問われている。
ゴネ長官は前大統領が「クーデターを率いた」と解釈し、この五つの嫌疑での起訴に至った。(1)
同長官はその根拠を具体的に上げているが、まず、大統領選で当選したルーラ氏と副候補のジェラルド・アルキミン氏、モラエス選挙高裁長官(当時)の暗殺計画について、ボルソナロ氏は2022年の内に知っており、了承したとの見方を示した。
「国防省が選挙システムを検証した結果、違反はなかったと発表したのと同じタイミングで『黄色と緑の短剣』などという、連邦政府内の軍高官らによって作られた不吉な名の団体を招き入れていた」とゴネ長官は報告している。(2)
続いて、ボルソナロ氏が2021年から民主主義体制の破壊をほのめかす発言を連発していた上、ルーラ氏の被選挙権が回復した後は、それが激化したことを挙げた。
さらに、2022年12月14日にボルソナロ氏が軍の司令官たちの前で大統領選の結果を無効にする条令案(ミヌタ)を提示した際、自らの手で修正を加えており、ボルソナロ氏自身がこの条令に深く関わっていたことが示されているとした。
また、ボルソナロ氏の元側近の陸軍中尉マウロ・シジ容疑者が昨年のクリスマス前に行った司法取引で、「暗殺計画が浮上した頃、モラエス長官を偵察するように命じたのはボルソナロ氏だった」と証言していたことを明らかにした。(3)
最高裁に提出された起訴状は第一小法廷で審理され、受理されればボルソナロ氏は正式に被告となる。その決定を行うための審理の報告官は、暗殺計画の対象となっていたモラエス判事が務める。また、起訴された内容全てで有罪となれば、ボルソナロ氏は最低でも28年間の実刑判決を受けることが決定的になる。
ボルソナロ氏以外には、大統領選で副候補を務めたヴァルテル・ブラガ・ネット氏、大統領安全保障室(GSI)元長官のアウグスト・エレーノ氏、元法相のアンデルソン・トレス氏、元国防相のセルジオ・ノゲイラ氏、ブラジル情報庁(Abin)元長官のアレッシャンドレ・ラマジェン氏といったボルソナロ政権時代の閣僚、シジ容疑者やアルミール・ガルニエル・サントス海軍元総司令官、「黄色と緑の短剣」のリーダーだったマリオ・フェルナンデス氏などの軍関係者の名が含まれている。
ボルソナロ氏の弁護チームは起訴状提出後、「2年間の捜査を経ても、クーデターとボルソナロ氏を直接結びつける証拠がない」として怒りの抗議を行い、検察庁の見方を「1人の人物だけの司法取引に基づいた弱いもの」と切り捨てた。(4)
前大統領長男のフラヴィオ氏も検察庁の判断を「低レベルでモラルに欠ける」「ボルソナロ氏は迫害されればされるほど成長する」と非難した。
ボルソナロ氏は起訴状提出と発表される数時間前、上院に出向き、1月8日襲撃事件関係者への恩赦法成立を議員らに呼びかけると共に、SNSで「彼らは曖昧な告発をでっち上げ、民主主義や主権を懸念していると主張し、反対者を迫害し、反対意見を黙らせ、権力を集中させるのだ」と反論し、ベネズエラ、キューバ、ニカラグアといった独裁政権の国を例に挙げた。 (5)