フロリアノポリス=世界でも高濃度のコカイン=観光名所の潟湖の汚染判明

サンタカタリーナ連邦大学(UFSC)が13日、同州州都フロリアノポリスの観光名所の一つのコンセイソン湖がコカインで汚染されており、その濃度は世界中の報告例の中でも最も高い部類に入ると発表したと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)が報じた。
コンセイソン湖は同市東部に位置するラグーン(潟湖、砂州やサンゴ礁などで外海から隔てられた水深が比較的浅い水域)で、同市の主要な観光名所だが、2021年に同州水道公社Casanの下水処理場(ETE)が決壊し、同地域の道路や家屋に被害を与えたことがある。コンセイソン湖の傍にあるETEで扱った下水は他の湖に流されるが、この事故で流れ出した水は最終的にコンセイソン湖に流れ込んだ。
今回発表された研究はETE崩壊が引き起こした環境的および社会的被害を緩和するための環境回復プログラムとしてCasanが提案した対策の一つで、Casanと農務省が協力。資金提供者はサンタカタリーナ研究・技術・イノベーション財団だ。
研究者達は2022年12月~2023年4月に採取した水や植物、魚などを分析し、コカイン、カフェイン、様々な種類の抗生物質、鎮痛剤を検出。化粧品や個人衛生用品等、日常的に使われる物質に含まれる「新興汚染物質」と呼ばれる物質も35種類検出されたという。
同大学食品科学技術学部シルヴァニ・ヴェルック教授は、コカインとその主な代謝物のベンゾイルエクゴニンは人の尿や排泄物から排出されるもので、サントス湾のサメから違法物質が見つかった研究などでも確認されていたから、これらの物質が検出されることは予測していたが、その濃度には驚かされたという。また、今回の研究はコカインのせいで注目されたが、コカインやその派生物のような違法薬品を含む、多くの医薬品を見つけたことは注目に値するとしている。
同教授は、今回はこれらの物質が確認されるに至った経緯は研究対象になっていないが、生活排水などの垂れ流しや薬物の不法投棄、船舶からの流入も原因であり得るという。また、ラグーンの水は調査期間中に最低4回入れ替わっており、事故が水質変化の原因とは考えられないという。
同市環境・持続的開発局は、今回の研究結果は人間の不適切な行動による環境への悪影響を示すものとし、今後も観察を続けるとの意向を表明。Casanは観光客も含めた人口増加と下水処理の不十分さなどが原因と見ている。
UFSCはまだ、検出された物質に関する情報の一部しか公開していないが、コカイン以外で既に公開されている汚染物質は、アセトアミノフェン(パラセタモル)、カフェイン、シプロフロキサシン(抗生物質。ジクロフェナク(抗炎症薬)などだ。
研究者達は汚染を減らす方法として、下水処理の改善、継続的な監視体制の確立、医薬品や化学製品の適切な廃棄に関する住民の意識向上、太陽熱蒸留などの持続可能な除染システムをテストするReacqua(加速太陽熱蒸留による汚染水回収)などの研究や取り組み拡大などを提唱している。