トランプ陣営がモラエス告訴=米国内での表現の自由侵害で

米フロリダに本拠を構える動画共有プラットフォーム「ランブル」が19日、ブラジル最高裁のアレシャンドレ・デ・モラエス判事を相手取り、米フロリダ州の連邦裁判所で訴訟を起こした。この訴訟は、トランプ米大統領の広報活動を担当する「トランプ・メディア&テクノロジー・グループ(TMTG)」と共同で起こしたもので、モラエス判事がSNS上で右派グループに対する検閲を行い、言論抑制を試みたとして、同判事によるランブルユーザーのアカウント削除命令が米国において法的効力を持たないよう求めるものであると、同日付G1サイト(1)が報じた。
原告側は訴状の中で、モラエス判事が権限を振りかざし、ランブルユーザーである「非常に著名な人物」のアカウントを停止したことは検閲にあたると主張。フォーリャ紙によると、この人物はジャイール・ボルソナロ元大統領の支持者で、現在は米国在住のブロガー、アラン・ドス・サントス氏だという。モラエス判事は同氏の逮捕を命じており、現在も指名手配中だ。
ランブルはYouTubeに類似した機能を有する動画プラットフォームで、2013年に設立された。このプラットフォームは米国の保守派を中心に広く支持されており、「自由で開かれたインターネットを守ること」をその使命として掲げている。ランブルは、ユーザーによるコンテンツの検閲を極力排除し、言論の自由を重視する姿勢を明確にしており、この方針が各種論争の中心となっている。
ランブルが注目を集めた転機は、21年1月6日の米国議会議事堂襲撃事件に端を発する。当時の大統領トランプ氏はこの事件後、主要なSNSプラットフォームから禁止措置を受けた。結果として、ランブルは保守的な政治家や支持者にとって重要な避難所となった。これにより、ランブルは急速に成長し、言論の自由を保障する場としての地位を確立した。(2)
ランブルはトランプ氏が設立したTMTGとの提携を深め、同グループが運営するSNS「トゥルース・ソーシャル」の広告プラットフォームとしても機能しているだけでなく、現米副大統領のJ.D.バンス氏を含む共和党に近い人物からも投資を受けている。このように、ランブルは保守的な政治勢力と密接な関係を築き、言論の自由を支持する主要なオンラインプラットフォームの一つとして、米国内外で影響力を増している。
訴状によると、訴訟の根拠は、モラエス判事が多数の米国在住ユーザーのランブル上のアカウントを停止した措置にある。原告側は、この行為は米国憲法修正第1条に基づく表現の自由を侵害するとし、同判事の命令は米国内では無効であるべきだと主張している。
さらに、モラエス判事による検閲命令は米国の公共政策に反していると主張。とりわけ、米国の法制度における他国の司法命令を受け入れないという長年の法的枠組みに違反していると訴えている。また、ランブルがフロリダ州タンパに拠点を構えているため、同案件は米国の連邦裁判所で審理されるべきだとした。
フルミネンセ連邦大学の憲法学教授、グスタヴォ・サンパイオ氏は、モラエス判事の決定はブラジル国内では有効だが、米国内でその決定を承認するかどうかは米国の司法に依存すると説明している。
この訴訟は、ブラジル検察庁(PGR)がボルソナロ元大統領を含む34人をクーデター未遂に関与したとして告発した翌日に提起された。