日本発の環境型農業=注目の「ヤマカワプログラム」(1)=ブラジル農家指導に同行

「自然の摂理に沿って、微生物に心地良い環境を作るんです。すると土壌が蘇り、質の良い作物が採れるようになります。ヤマカワプログラムは地球環境をも蘇生する、夢のような方法です」――日本発祥の環境型農業「ヤマカワプログラム」の普及活動を行う日本の非営利環境保護団体「ヤマカワプログラムジャパン」の代表者2人が2024年11月16日から12月1日まで滞伯し、同農法を実践するブラジル人農家の指導活動などを行った。バイーア州ジュアゼイロ市、ペルナンブコ州ペトロリーナ市、サンパウロ州イビウーナ市で行われた活動に同行した。(淀貴彦記者)
今回ブラジルを訪れたのは、ヤマカワプログラム提唱者の故山川良一さん(24年5月没、行年74歳)の一番弟子、船戸知樹さん(52歳、北海道常呂郡佐呂間町)と同団体代表及び通訳の黒田栄さん(57歳、メキシコ生まれ)。
2人の所属するヤマカワプログラムジャパンは、山川さんが考案した農業の方法(ヤマカワプログラム)に賛同する有志らによって2009年に設立され、現在は100人以上が所属する。

山川さんは、もともと担子菌門(きのこ)の研究者で、シイタケの無臭エキス抽出の特許をもつ専門家だった。
山川さんは自然豊かな山中の土が、農薬や肥料、トラクターによる耕耘を行っていないにもかかわらず、ふかふかとした状態を保っていることに気付き、その原理を研究。自然界の調和が土中の微生物を活性化させていることに着目し、環境利用型農業のヤマカワプログラムを提唱した。
土中では多種多様な微生物、虫、植物が互いにバランスをとりながら生きており、一つの社会を形成している。また土中の微生物相は海と同様に深度によって異なり、それぞれに合った階層(団粒構造)に分かれて生息しているという。
黒田さんは、「深海魚を浅瀬に引き上げたら、たちまち死んでしまいますよね。農地で行われる土壌をかき混ぜる行為によって、土中に住む微生物に同様のことが起きてしまっています。別の例えなら人間の体で脳みそと内臓の場所が入れ替えられてしまうようなものです」と述べ、自然環境に即したヤマカワプログラムの実践重要性について語った。(続く)