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米国下院=モラエス判事入国禁止法案=委員会で承認後、本会議へ=Ⅹのサービス停止への報復

2025年2月28日

米国下院の委員会がモラエス最高裁判事の入国を阻む法案を承認と報じる26日付オ・グローボの記事の一部
米国下院の委員会がモラエス最高裁判事の入国を阻む法案を承認と報じる26日付オ・グローボの記事の一部

 米国下院司法委員会が26日、ブラジル最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事の入国を事実上阻止し、国外追放も可能にする法案を承認したと同日付オ・グローボなど(1)(2)が報じた。トランプ大統領の共和党議員が提出した法案は今後、同党が多数を占める下院本会議での審議にかけられる。
 米国民への言論統制や検閲に反対する法案(No Censors on our Shores Act)は、昨年9月にカリフォルニア州のダレン・イッサ下議とフロリダ州のマリア・エルヴィラ・サラザール下議(共に共和党)が提出したものだ。
 モラエス判事はこの時期、ブラジル最高裁の命令への不服従を理由にソーシャル・ネット・ワークⅩのブラジルでのサービスを停止しており、米国では、言論統制や検閲にあたるとして強い反発が起きた。また、ボルソナロ前大統領三男エドゥアルド下議は当時、「言論の自由を侵害する者からビザを剥奪する」可能性がある取り組みだとSNSに投稿し、ブラジルのボルソナロ氏支持者もこの法案を支持する意向であることを示していた。
 下院司法委員会委員長のジム・ジョーダン氏(共和党)は、ブラジルの選挙裁判所とUSAidなどの米国の政府機関との提携や、モラエス判事を標的とした別の法案にも署名している。
 今回承認された法案は、検閲という方法で米国民の表現の自由を侵害する外国人当局者の入国を阻止し、法令が発効する前に同国に入国していた者は国外追放の対象とするという内容で、ボルソナロ氏や同氏を支持するブラジルの議員らも歓迎している。
 Ⅹそのものは、ブラジル国内でのサービス停止処分後、態度を軟化させ、ブラジルに法定代理人を任命。最高裁が科した罰金も払い、裁判所の判決に従うことも約束したため、約1カ月後に停止処分を解除された。だが、トランプ氏の支持者とボルソナロ氏の支持者はモラエス判事を敵対視し続けており、米国側の政権交代を待って法案審議に乗り出したことになる。
 法案提出当時の米国では、ブラジルと良好な外交関係を保っていたジョー・バイデン大統領(当時)や民主党上院議員の支持が得られない可能性があったが、現在の米国は下院だけでなく、上院とホワイトハウスも共和党が支配している。さらに、X所有者のイーロン・マスク氏はトランプ氏の上級顧問となり、政府効率化局の責任者にも就任している。
 サラザール下議は「モラエス氏は表現の自由とマスク氏のような米国市民に対する国際的な運動の先駆者」であり、憲法修正第1条で規定されている権利は「自然かつ不可侵」で国境があってはならないと主張。イッサ下議も、モラエス判事の判断は「最高裁の権力乱用」で「マスク氏を狙っている」と主張し、「ⅩやMeta、グーグルなどを削除したいのなら、米国ビザで米国に来ることを期待しないで欲しいし、言論の自由剥奪の責任者が米国に居続けられるとは思わないで欲しい」と語った。
 同法案が下院本会議で成立するには、435人の過半数にあたる218票が必要だが、これはまさに下院での共和党議員数にあたり、下院通過の可能性は高いと見られている。


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