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トランプ「ブラジルは関税で盗んでいる」=施政方針演説で名指し非難=加墨中関税引き上げも影響

2025年3月6日

カナダとメキシコからの自動車関連の商品の関税引き上げ延期を報じる5日付G1サイトの記事の一部
カナダとメキシコからの自動車関連の商品の関税引き上げ延期を報じる5日付G1サイトの記事の一部

 【既報関連】トランプ米大統領が就任以降、連続的に発表してきた関税引き上げが新段階に入り、4日から、カナダとメキシコ、中国に対する関税が引き上げられた。ブラジルに関しても、12日から始まる鉄鋼、アルミニウムへの関税引き上げなどの影響が避けられない状況だ。

 5日付G1サイト(1)によると、トランプ大統領は4日夜の施政方針演説で、「ブラジルは米国産品に高関税をかけ、米国から盗んでいる」との表現でブラジルへの批判を繰り返した。ブラジルの外交官らは、ブラジルへの輸出や両国間の貿易に影響を及ぼす可能性のある報復を回避するため、毅然とした態度でかつ慎重に対応する必要があると考えている。
 ブラジル最大の懸念材料は、12日に始まる鉄鋼とアルミニウムへの25%課税の影響だ。ブラジルは米国への鉄鋼供給量が世界第2位、24年の取引額も57億ドルだから、関税引き上げの影響は決して小さくない。(2)
 米国は4月2日からも全ての農産物と全ての外国産自動車への関税の引き上げ(率は未定)を計画している。これらの関税引き上げが起これば、米国向けに輸出されるはずだった車が国内やラ米市場に流れ込み、同地域での新車価格低下を招く可能性がある。(3)また、関税引き上げが農産物輸出を妨げる可能性がある一方で、中国へのブラジル産農産物輸出増加による国内価格上昇も起こり得る。なお、銅と木材にも新たな関税を課す可能性があるが、詳細は未定。
 4日付フォーリャ紙など(4)(5)によると、中国商品への関税引き上げは2月4日の10%に次ぐもので、関税率が更に10%引き上げられる。
 また、カナダからの商品はエネルギーや燃料関連の商品以外には25%、メキシコからの全商品には全てに25%の関税がかけられる。
 メキシコとカナダと米国は第1期トランプ政権で結んだ米国、メキシコ、カナダ協定のため、大半の製品が無関税で流通していた。これを考えれば、これがいかに特殊な状況かは明白で、カナダとメキシコは関税および非関税措置で対応する意向だ。(6)(7)
 トランプ大統領は5日、カナダとメキシコからの自動車関連商品への課税率引き上げは1カ月間延期すると発表した。これは、米国内の自動車メーカーから、一部の車両価格が最大25%値上がりする可能性があり、価格上昇と入手可能性への悪影響が即時に感じられるようになる見込みだと警告されていたことによる。(8)(9)(10)
 報復措置を考えているのは中国も同様で、4日未明に米国産の農産物や食料品に10~15%の関税を課すと発表。米国企業25社に対して輸出および投資制限を課した。米国は中国がフェンタニル製造用の化学物質を供給していると主張しているが、中国側はいかなる不正行為も否定し、米国の一方的な関税措置は世界貿易機関の規制に違反するもので、米中間の経済貿易協力の基盤を損なうと批判している。
 中国は210億ドル相当の米国産食品・農産物に関税を課した直後、大豆の輸出業者3社と木材輸出業者1社の営業停止措置も発表した。大豆の輸入停止は積み荷から麦角菌や種子コーティング剤が検出されたため、木材輸入の停止は虫やコウジカビ、その他の害虫の存在が原因だという。米国からの大豆輸入停止は、伯国産大豆の輸出増につながる可能性がある。(11)(12)(13)(14)
 関税戦争は、直接間接に産業や貿易、雇用や所得にも影響を与え得るが、現状ではまだ、影響の及ぶ範囲や大きさを図れない状況が続いている。


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